1月26日、日曜日。
岡山市内にあるお寺、蔭凉寺 でENNOVA OKAYAMAプレゼンツ
「ecoleの挑戦~実験と観察、その先にあるもの~」が開催された。
世間は新年を迎え、お正月ムードが一段落した頃だった。
ENNNOVA OKAYAMAでは「希望のつくりかた」というテーマで
毎回、著名な方達を呼んで、人々のより良い生き方について講演を
行っている。いつもは大人の目線からの講演なのだが、今回は子ども目線
からの内容ということで、ecoleが呼ばれることになった。
会場では、コイケサンの心暖まる珈琲とお菓子がもてなされ、集まってくれた
方々の身体をほぐしてくれた。街中の静かなお寺に続々と元気な子どもたちの
声が集まってきた。50名近くの親子連れの方々で会場は埋め尽くされた。
いつもecoleのイベントに参加してくれている家族は、子ども同士でいつの間に
か盛り上がっている。活動に興味を持って初めて参加してくれた家族は、少し
緊張気味だ。そして、大人目線で興味を持って参加してくれた方は、その光景を
後ろから暖かく見守ってくれている。そんな中、講演会は始まった。
講演会の導入では、初めての方に向けて活動の報告を簡単にしていった。月に一度、
地域の素敵な場所や人に会いに行き、ワークショップを企画していること。幼少期に
どんな大人に出会うかで、子どもの価値観ができあがっていくなどのことを簡単に
話をした。そして、少し落ち着いたところで、メインのワークショップが始まった。
今回は2000個の紙コップを使って遊ぼうというものだ。
ここからは、実践者の虫明さんと交代して進行していった。虫明さんは幼稚園の副園長
でもあり、大学院で幼児教育について研究もしている。虫明さんが、紙コップを触る前に、素材への関心を持たせるために、王冠のバッジを取り出した。今まで、わらわらとしていた子どもの目つきが一瞬で変わった。周囲の親からの話で、子どもが、はしゃぎだしたら止めれない。怒るしかない。という意見を良く耳にする。ただ、「子どもには、与える順番や時期がある。子ども目線で、親が寄り添い見ていくとそれらが見えてくる」という。事実、この会場では沢山の子どもたちが、所狭しといる中で、誰一人して泣いたり、別のことをしている子どもは見受けれなかった。素材への関心を持たせて、その次に積み重ねるのに失敗の少ないトイレットペーパーを取り出した。そして重さ、質感の違うミートソースの缶。子どもたちは、それぞれの素材を体感しながら遊びのルールを頭の中で作り始めていく。
ワークショップでは親も子どもの気持ちになろうということで、一緒に紙コップを積み上げていった。親も見守るだけでなく、寄り添い共に楽しむこと。そして周囲の人と一緒に作り上げることで、みんなで遊ぶということを実践していった。その中でいろんな発見があった。参加した方の観察があるのであげてみよう。
*参加者Yさんの観察*
「これ紙コップ。ある二歳くらいの女の子が私の横でひとり黙々と積み上げていた…紙コップを重ねる行為が最後は他の子を巻き込んでこんな展開に!!
やり取りの一部始終を覚えてるけど、彼女のまだまだ高く積み上げたいという思いを叶えるために、何とかタワーを崩さずに、と持ちこたえれて良かった。自分の身長より高くなって、届かなくなれば、椅子に乗ることに気づき、少し傾ければいいことに気づき、お父さんに抱っこしてくれるように自分の思いをちゃんとつたえるし。私の手よ伸びろ、と可愛いおまじないを唱えたり。ジャンプしてみたり。途中、紙コップが楽器になることも、トンネルになることも、様々な発見があった。それまで、特に他の子と協働作業をすることもなかったのに、ある男の子がトンネルをさらに大きくしようと沢山の紙コップを持ってきて、足元から合体させたことをきっかけに、周りの子達もワラワラとo(^▽^)o大人たちはトンネルが崩れないように支えるのに必死(^◇^;)積み上げ方も個性が出ます。こんな展開になるとは、こどもたち面白すぎます。見渡せば、一面に散らかってた紙コップは、綺麗に拾われて、本当に面白かったなぁ。」
最後は、想像もつかないような展開にまでなり、周囲を巻き込みながら一つの造形へと導かれていった。これが、まさに「創造のプロセス」。
予定調和で終わらすのが、良いのではなく、予定を超えた関わりが次の可能性を見せてくれる。大人は見えているものを教えようとするが、見えていないものも沢山あるということを認識していなければいけない。それは、子どもたちのほうが良く知っている。
子どもはみんなで育てる。地域で育てる。それがまちづくりにも繋がる。
地域活性化という内容にハードや経済性の改善がよく上げられるが、地域での住み方を私たちがよく知っておかないといけない。それを考えるのがecole(フランス語で学校という意味)のやり方。
最後にこのイベントを企画してくださった。ENNNOVA OKAYAMAの皆さん。
蔭凉寺の篠原さん、カメラマンの福田ジンさん本当にありがとうございました。
ENNNOVA OKAYAMA http://ennova.jp/
クアトロ フォトデザイン 福田ジン